えすのおと

15歳の現役高校生 “えす” のブログ。

【私小説】相変わらず見えない未来。


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まただ。また、ここから始まる。

 

また私は、ベッドで仰向けになっていた。

 

前にもこんなことがあった気がする。

 

思い返せば、ほんのつい1週間前の話ではないか。

 

ある意味、いつも通りの日常だ。

 

 

昼下がり。ベッドの上。

 

布団の温かみに包まれた足先とは裏腹に、身体は部屋の冷気を感じていた。

 

ぼんやりと浮かぶ天井が、押し迫るように私に憂鬱を与える。

 

なんでいつも、ここから始まるのだろう。

 

天井との、絶妙な距離感。

 

ベッドの上の、浮遊感。

 

ここはもはや、憂鬱の温床としか言い様がない。

 

また、ここから始まる。

 

 

 

人間には、未来が見えない。

 

誰もが抱くタイムマシンへの憧れは、ただの好奇心だろうか。

 

私はそうは思わない。

 

そこには、見えない未来への不安がある。

 

どう足掻いたって見えない。それが未来。

 

そこが人生の醍醐味とでも言うのだろうか。

 

そのスリリングさを楽しむものなのだろうか。

 

見えない未来に向かわねばならないのだろうか。

 

 

ベッドの上。そんなことが頭の中で延々と流れていく。

 

相変わらず視界には、ぼんやりとした天井しか映らない。

 

 

 

 

 

「高校には行こうと思ってるの?」

 

 

西日が少し差し込む部屋の中。男がそう語りかける。

 

それは、1年前の話。

 

私は不登校児の相談センターのような場所に連れて行かれた。

 

そこにはたくさんのプレイルームが存在しており、

職員と一緒に遊んで緊張を解き、そして今後についての相談をするという、

純粋なる子供を巧妙に操る可笑しい施設だった。

 

そんな場所に、何度も足を運んでいた。

 

 

その日もいつものように、卓球部屋に向かった。

 

いつものように、どこか薄暗く映る廊下を通って。

 

いつものように、その閉鎖感に息苦しさを感じながら。

 

いつものように、足を踏み外した、あのときの自分を恨みながら。

 

 

そしていつものように、曖昧に答えた。

 

 

「まぁ、行けるなら行った方がいいかなって感じです。」

 

 

 

 

 

あれから1年。

 

高校に通い始め、少し前進したように見えた自分という名の駒は、

死んだようにピタリと動きを止めた。

 

 

私は未来を見ていない。

 

未来を見ている余裕など無い。

 

今の自分はただ、今の自分を生きているだけ。

 

 

1年前に綴った言葉だ。

 

私は結局、あの頃から1歩も進んでいない。

 

進んだように見えた駒は、今はもう、あの頃と同じ場所にある。

 

 

 

この世界は、停滞を許してくれないのだろうか。

 

1秒前は即座に過去と化し、私を無理やり未来へと押し出す。

 

まるで、私を急かすかのように。

 

未来が、不気味な笑みを浮かべながら私を迎える。

 

そこに希望という二文字は特に見当たらない。

 

どちらかと言えば絶望だが、かと言ってそうでもないのかもしれない。

 

 

人間には、未来が見えない。

 

 

どう努力しようと、未来は見えない。

 

なのに人間は、その見えない未来に対して、決断を下さねばならない。

 

人間が人間である限り、そこからは逃れられない。

 

凄まじいスピードで、選択肢が襲ってくる。

 

休もうとすればするほど、それは加速して、私の目の前に立ちはだかる。

 

 

やはり、常にペダルを漕ぎ続けねばならないのだろうか。

 

そうだとしたら、この世界は本当に面倒だなぁと思う。

 

 

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目に映るのは、ぼんやりとした天井。

 

いつも通り。相変わらずの景色。

 

少し、喉の渇きを感じた。

 

そうして私は、いつものように水を喉に通し、

また無理やりに、1秒だけ未来へと押し出される。

 

 

本当に相変わらずだ。

 

相変わらず私には、未来が見えない。

 

 

 

 

 

☆高校生 “えす” の私小説 Episode1 はこちら。

 

 

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

 

 

※この物語は小説のくせに ほぼほぼノンフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空ではなく、実在のものと関係があります。