えすのおと

16歳の現役高校生 “えす” のブログ。

【感想】村田沙耶香氏の新作「地球星人」はまさに衝撃作であった。


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どうもどうも。

えす(@Sakura_05300921)です。

 

いつの間に夏も終わり、やってきた秋。

読書の秋ということで、久しぶりとなる書評記事。

 

8月31日に発売された 村田沙耶香氏の新刊「地球星人」を読んでみました。

 

今回は読んでみた感想などを思うままに綴っていきます。

 

 

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コンビニ人間に次ぐ村田沙耶香氏の新作「地球星人」

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およそ2年ぶりとなる村田沙耶香氏の新刊「地球星人」。

 

村田沙耶香氏の作品を読むのは、第155回芥川賞を受賞したことでも知られる「コンビニ人間」に次ぎ2度目 となります。

 

コンビニ人間を読んだのは中学3年生のとき。

 

当時はまだ小説というものを読み始めたばかりでしたが、その共感できる内容と所々でクスッと笑えてくる巧妙な言葉選びに心を打たれ、一気に村田沙耶香氏のファンになりました。

 

芥川賞授賞式で垣間見えたあのどこかミステリアスな雰囲気に惹かれたのも一因でしたね。

 

 

 

そんなこともあって、発売日に一目散に書店へと出向き購入した今回の「地球星人」。

 

芥川賞受賞後の第一作。それはそれは、楽しみで仕方ないものでした。

 

 

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「地球星人」のあらすじ

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私はいつまで生き延びればいいのだろう。

いつか、生き延びなくても生きていられるようになるのだろうか。

 

地球では、若い女は恋愛をしてセックスをするべきで、恋ができない人間は、恋に近い行為をやらされるシステムになっている。

 

地球星人が、繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろうーーー。

 

なにがあってもいきのびること。

少女は世界=人間工場と対峙する。

 

引用:「地球星人」帯より ‐ 村田沙耶香

 

 

「地球星人」を読んでみた感想

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作品を読み終わってすぐに、慌ててネットで他の人のレビューを漁った。

 

一体、他の人たちはこの作品に何を思い、何を感じたのだろうか。

何が正解で、何が不正解なのか。

 

全てを見失うほどのカオスを生み出すこの作品は、まさに衝撃作という言葉がよく似合う。

 

とてつもない文学の世界に飲み込まれてしまったような感覚があった。

村田沙耶香氏が仕掛けた策略に、まんまと引っ掛かってしまったようでもあった。

 

・・・

 

家族には話していないが、私は魔法少女だ。

引用:地球星人 p.04 ‐ 村田沙耶香

 

思えばこの一文から、私はすでに彼女の作り出す世界に飲まれていたのかもしれない。

言うなれば、村田沙耶香ワールドの虜になっていた。

 

駅前のスーパー。お年玉で買ったぬいぐるみをポハピピンポボピア星からやってきたピュートであるとし、ピュートからのお告げを受けて魔法少女として地球を守る。

 

いとこの由宇は恋人で、針金で作った結婚指輪をはめたりなんかして。

 

毎年の夏に、おじいちゃんとおばあちゃんの住む秋級あきしな)の山奥に遊びに行くのを楽しみにしている。

 

そんな、いかにも女の子らしい様が淡々と描かれていく。

 

狂気的で、ある意味では人間味に満ちた世界を描く人という印象が強かったので、こういった幕開けには少し驚くとともにふわふわとした気持ちになった。

 

そう思えば今度は、

 

私は、人間を作る工場の中で暮らしている。

引用:地球星人 p.36 ‐ 村田沙耶香

 

と、急に達観してみせる。その変わりようにもはや愛おしささえ感じる。

 

我々は弄ばれている。翻弄されている。

まさに村田沙耶香氏の文章という感じがして、つい笑みがこぼれてしまう。

 

以前、高校の現代文の教科書に村田沙耶香氏による随想が掲載されていたのだが、それもまたとても面白いものであった。

 

やっぱり私は、この人の書く文章が狂おしいほどに好きだ。

 

・・・

 

内容としては、コンビニ人間に通ずるものがある。

 

普通の人間と、普通から外れた人間。

 

コンビニ人間風に言えば、世界の正常な部品と、欠陥品。

地球星人風に言えば、地球星人と、ポハピピンポボピア星人。

 

その対極にある二者の間で生じる不和を、普通から外れた人間側の視点で描く。

 

普通から外れた人間は決まって普通の人間からの弾圧を受け、普通の人間になるべきだと、ある種の洗脳にも似た形でじりじりと正常なる社会に引きずり込まれていく。

 

一貫した著者の世界観に、何かしらの強い意思を感じざるを得ない。

 

 

そして毎回不思議と、普通から外れた人間側に共感してしまう自分がいる。

 

コンビニ人間を読んだときもそうだった。

特に当時は学校に行っていない所謂不登校だったため、その思いが大きかった。

 

正常なる社会と上手く関われず、それでもなお普通の人間を演じなければならないという不調和と葛藤の人生において、あの作品はまさに心を打つもので。

 

今回は当時と比べれば一歩引いた場所でその様を眺めていたようにも思うが、やはり私の中の何かは、今も変わらずそれと戦っている。

 

ある意味では、そんな普通から外れた人々の心の拠り処のような世界を描くというのも、村田沙耶香作品の醍醐味と言えるのではないだろうか。

 

・・・

 

ラストは圧巻である。

 

同調圧力が蔓延る人間工場から逃れ、地球星人ではなくポハピピンポボピア星人としての目線で山奥での原始的な暮らしを始める。

 

そこには人間社会の常識も概念もさらさら無く、物事の判断は知識や文化ではなく全て合理的か非合理的かで決める。

 

生き延びるという、ただそれだけが合理性の基準。

 

そのためなら食料も盗むし、人も殺す。

 

タブーを度外視したグロテスクで狂気的で、異常にも見える行動。

 

でもそれはどこか人間的でもあり、まるで魔法にかかったかのように1周回って愉快にさえ感じてきてしまうのが変だった。

 

一体どう着地するつもりなのか、もはや不安になってくる。

 

果たしてここまで書く必要があるのかと、ここまで狂気的な世界観を広げる必要があるのかと、正直疑問に思った。

 

だが、世界にある普通や常識といった幻想を、正しさを、丸ごとひっくり返すかのようなこの作品を象徴するものとしては、それはあまりに十分すぎるものであった。

 

 

いつだったかに聞いた「クレイジー沙耶香」という異名。

 

その名の通りの、クレイジーな世界観を見せつけられたといったところか。

 

一体、この人の頭のなかはどうなっているのだろう。

どんな顔をしてこの世界を描いているのだろう。

 

もしかしたら、本当にポハピピンポボピア星人なんじゃないかとさえ思えてくる。

 

それなのに、なんとなくYouTubeで彼女の話す姿を見てみると、いたって普通の女性に見えてしまうのがなんだか奇妙にさえ感じた。

 

・・・

 

良くも悪くも社会に対して不満を抱き、葛藤のなかで生きていた中学生の頃に読んでいたらどうだっただろうか。はたまた未来、大人になってから読んでいたら。

 

読む人の、立場、境遇によって色を変える作品。

 

一体、他の人たちはこの作品に何を思い、何を感じたのだろうか。そして、感じるのだろうか。

 

想像するだけで、とても面白い。

 

 

愛だとかセックスだとか、それらに留まることなく、地球上に存在するすべての常識に一種の異を唱える衝撃作、「地球星人」。

 

皆様もぜひ、お手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

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おわりに

 

以上、村田沙耶香氏の新作「地球星人」を読んでみた件 でした。

 

今ふと机の上に並べられた本を見て思い出したんだけど、実はちゃんと最後まで読み切れていない小説というのもあるんですよね。

 

そんな中で、村田沙耶香氏の作品は最後まで飽きずにじっくり楽しめる。堪能できる。

 

あぁやっぱり、自分はこの人の書く文章が好きなんだなぁと、改めて感じました。

 

次回作が待ち遠しいです。

 

 

書評記事を書くのちょっと上手くなった気がする。(自画自賛)